村山大島紬は江戸時代の中期に創り出されたと言われています。まず正藍染による綿織物である「村山紺絣」と玉繭による絹織物である「砂川太織り」の二大支流が合流しました。その後、縞銘仙、乱絣、経無地、などの時代を経て経緯絣の絹織物に変わってゆき、いわゆる、村山大島絣が生産の中心となったのが1920年代のことです。
先覚者のたゆまぬ努力が稔って、年ごとにその質の良さ、堅牢さが高く評価されるようになりました。
大正中頃から村山村(現在の武蔵村山市)、砂川村(現在の立川市砂川町)両地区一円で、独特の手織機を用いて織り上げられたこの村山大島絣は、正絹板締め絣織物で経緯の絣糸を巧みに染め分けて織り出されており、精緻をきわめ、奥ゆかしい民芸の地風をもち、しかも表裏がないという特徴をもっています。
昭和42年3月には、東京都指定技術工芸品の指定を受け、その生産の重要性が改めて認識されています。昭和50年2月通商産業大臣指定伝統的工芸品として指定されました。
特徴
村山大島紬の最大の特徴は、板締め注入染色法という独特の技術で染められた絣糸を用いる事です。その絣板は、織物専用の方眼紙に板図案を描き、これを元に樹齢100年以上経た水目桜を使用し、極めて精巧な技術を用いて、板彫りされます。これによって繊細な絣模様が生み出されます。
村山大島紬はこの様にして伝統の技術を忠実に守り、気の遠くなるような手間と時間をかけて創られます。
最後に検査をして製品とし出荷されます。すべての課程が手作業で行われ、他に類をみない緻密な織物です。
”着る人の心を織りなす”優雅な味わいが村山大島紬の魅力です。