草木染について

*一般的に草木染というと天然染料を用いた染色方法を言います。    
綿に染色するにはたいへん染まりづらく、逆に藍は綿との相性が良くご存じのごとく、
古来より色々な物に応用されています。

*絹は繊維の性質からいろんな色に染めやすいので、広く使われました。
というより以前はこの天然染料しか無かったので、それらを工夫していました。
実際に染色してみると日光に対しての堅牢性や色落ちがしたりして、実用に不向き
なものがあります。また出にくい色もあり、古来より苦労してきました。

*植物の場合、葉、枝、根とそれぞれで色が違って出てきます。
特に葉は入梅前ですと色素があまり含まれておらず、薄い色になります。
生葉と枯れた葉では違う色になります。

染液も最初に採った物と二番目に採った物では違います。
一般に後に注出して茶色などの成分を抜いた物の方が鮮やかな色が出ます。

花にはあまり染料の成分は含まれておりませんので、色があまりでません。

いわゆるハーブ類ですが、2,3のものを除きほとんど染まりません。
染料より媒染剤の色が強かったりします。


*植物は自分の成長に必要であったり、身を守るために薄黄色の樹液を持っています。
それが空気や金属などに触れると発色します。
厳密に分析すると目に見える物の範囲が色として見え、同時に見えない成分も
も一緒に付着します。また染料の分子が細かいのでいろんな色が混ざっていて出ます。

草木染というと渋い色を連想しがちですが、結構派手な物もあります。
それには純粋な物だけを注出する必要があります。

*染色された物は、こういうことにより同じ色が出ずらく時間をかけないと色が安定しません。
本来染色は、生地や糸を保護するためにしました。時が変わり地位身分を表したり
ファッションとしての物になったりしました。


*村山大島紬では植物染料を地に使ってきました。
立横の地糸はヘマチン(ログウッド)やパラエキスやシブキエキスやミラボを使い鉄で媒染しました。
茶味がかった黒が良いとされていたからです。
絣も地の黒は、だいたい同じ染料を使いました。